2018年プロ野球新人王は誰だ!? ~ペナント開幕前の徹底予想~

プロ野球の2017年度ドラフト会議が終わり、セ・リーグ、パ・リーグ各球団の新人選手の入団が決まりました。今回はそんな新人達の活躍を願いつつ、2018年度のプロ野球新人王は誰になるかを予想したいと思います。ドラフト会議の結果から、2018年度のペナントレースへの影響、そして注目新人選手を紹介し、最後に誰が新人王を取るか、アンケートの結果を発表します。

まずは皆さんの意見も聞かせてください♪

2017年度ドラフト会議の注目は何と言っても超高校級スラッガーである清宮 幸太郎（きよみや こうたろう）。指名を公言していた阪神タイガースのほか全部で7球団が1位指名し抽選の結果、日本ハムファイターズが交渉権を獲得し入団が決まりました。日本ハムファイターズは、育成に定評がある球団のため、潰されるというような心配はしなくてすみそうです。順応と成長が要求される高卒1年目での新人王は少し難しいと予想されるが、誰もが1年目の清宮 幸太郎の新人王を期待しているのではないでしょうか？

他にも、捕手として守備に打撃に甲子園で一大旋風を巻き起こした広島江陵高校の中村 奨成（なかむら しょうせい）も大注目の一人でしたが、無事第一希望の広島東洋カープに入団が決まったほか、長打力が魅力で注目を集めた履正社高校の安田 尚憲（やすだ ひさのり）は千葉ロッテマリーンズ、横浜高校の増田 珠（ますだ しゅう）は福岡ソフトバンクスホークスに指名され、入団が決まりました。

やはり新人王候補の大本命は大学・社会人の即戦力の選手たちといえるでしょう。

大学・社会人を見てみると、ドラフト会議での上位指名が確実視されていた選手たちが順当に指名されました。社会人No1左腕と呼び声が高かったJR東日本の田嶋 大樹（たじま だいき）は、オリックスバッファローズと埼玉西部ライオンズが競合し、オリックスバッファローズへの入団が決定しました。また立命館大学の東 克樹（あずま かつき）は横浜DeNAベイスターズがドラフト1位で一本釣りに成功、明治大学の齊藤 大将（さいとう ひろまさ）は埼玉西部ライオンズのはずれ1位として指名。それぞれ実力通り順当に上位指名されました。

しかし高校生ほど注目選手は多くはなかったこともあり、上位指名された実力選手に指名が集中してしまったということもできます。はたしてドラフト上位指名以外の新人たちが下馬評を覆して活躍するのでしょうか。高校生ルーキーより、大学・社会人ルーキーのほうが新人王を取る可能性が高いのは否めないので、2018年の大学・社会人ルーキーの活躍が楽しみです。

2017年度シーズンの投手陣を見る限り左投手を補強したかったところですが（※詳しくは広島東洋カープ2017年振り返りを参照）、それでも今年度のドラフト会議は評価できます。まず狙い通り、1位指名で広島江陵高校の中村 奨成（なかむら しょうせい）を獲得できたことは大きく評価できます。しかし、2位以下にお目当ての即戦力投手がいなかったのか、その後は育成が得意な広島東洋カープらしい指名を継続。代わりに151キロ右腕の熊本工業高校の山口 翔（やまぐち しょう）、身体能力の高い二松学舎大付高校の永井 敦士（ながい あつし）など、将来性がある高校生の指名を連発し、数年後を見通したドラフト会議となりました。広島東洋カープの強みとして外国人選手の獲得に定評があるため、そちらで即戦力を獲得することは可能といえるでしょう。

しかし、新人王を狙える人材は少し難しいかもしれません。育成ありきの高卒ルーキー、いくら中村 奨成選手が優秀だからと言っても、捕手で年間通して試合に出られるほど、プロ野球は甘くはありません。2年目以降でまだ新人王の権利が残っている選手が出てくれば話は別ですが...

見事、清宮 幸太郎（きよみや こうたろう）を引き当てた北海道日本ハムファイターズも評価は高いといえます。2位以下は課題となっていた投手陣が中心の指名となり、2018年度の投手陣に厚みを加えることに成功しました。また7位で東京大学の宮台 康平（みやだい こうへい）を指名したことでも話題になりました。清宮 幸太郎と宮台 康平の話題性あふれるドラフト会議になったと言えます。

指名がうまくいかなかった球団の代表例として、読売ジャイアンツがあげられるでしょう。まず1位指名を清宮 幸太郎、そして九州学院高校の村上 宗隆（むらかみ むねたか）と2回はずして、外れ外れで152キロの即戦力の中央大学の鍬原 拓也（くわはら たくや）を指名しました。そもそもドラフト指名で、1回目に超高校級スラッガー（清宮）、2回目に将来性のある捕手（村上）、そして3回目に先発右腕（鍬原）と、指名に一貫性が見出せません。

そして2位以下の指名も、2位と3位が共に捕手の指名と、捕手を強化したいと思わせるドラフトの内容でした。しかし読売ジャイアンツには、不動の正捕手である小林 誠司がいる上、2017年シーズンその不動の正捕手を脅かす存在の宇佐見 真吾が台頭してきたばかり。あまりドラフト会議の意図が良くわからない内容でした。

東京ヤクルトスワローズは、2017年シーズン怪我人も多かったこともあり球団史上ワーストの成績をのこしました。そのため、即戦力の補強がほしかったのは言うまでもありません。

しかし高校生の清宮 幸太郎を1位指名した後、九州学院高の九州学院高校の村上 宗隆（むらかみ むねたか）を指名。見事交渉権を引き当てましたが、2018年シーズンにいきなり活躍できるのかといえば、疑問が残ります。そしてさらに迷走する方針がささやかれており、村上 宗隆を2017年の正捕手の中村 悠平の後釜としての指名かと思いきや、まさかの三塁手転向案。将来性を期待したドラフトだったのかどうかすら疑問が残る結果に。

また投手では即戦力となりうる大学・社会人投手を多数指名しましたが、2017年の大学・社会人の注目選手はそこまで多くなかったこともあり、その中から何人がものになるかが疑問に残ります。振り返ってみたら、層の薄さを広範にカバーできるドラフト指名をしてほしかったものです。2018年シーズンもどこか1つパーツが崩れるとそこからチーム全体が崩壊してしまうような気がしてなりませんが、要らぬ心配であることを祈っています。

オリックスバッファローズの田嶋 大樹（たじま だいき）

もっともドラフト指名された中で、もっとも新人王に近いのはやはりオリックスバッファローズがドラフト1位指名した社会人No1左腕と呼び声が高かったJR東日本の田嶋 大樹（たじま だいき）なのではないでしょうか。社会人ナンバーワンの称号を引っさげて1年目からプロの世界で羽ばたける可能性があります。その理由として、まず最速152キロの直球と安定した制球力、スタミナと完成度が非常に高く、さらに左投げという利点があります。プロでも1年目から先発ローテーションを守り、新人王争いに名乗りを上げられる逸材であることに疑いはありません。

中日ドラゴンズの鈴木 博志（すずき ひろし）

また、中日ドラゴンズがドラフト1位指名したヤマハの鈴木 博志（すずき ひろし）も、新人王候補の一人です。比較的1年目から活躍する事例が多いセットアッパー候補であることが、新人王への後押しになる可能性が高いといえます。中日ドラゴンズの勝利の方程式の一角を担い、守護神の田島 慎二に繋ぐ役割を果たしてほしいです。

阪神タイガースの馬場 皐輔（ばば こうすけ）

新人王候補の即戦力投手として紹介したい3人目は、阪神タイガースのドラフト1位指名の仙台大学の馬場 皐輔（ばば こうすけ）です。直球、変化球全てにおいて1流のダルビッシュ投手に似ており、最速155キロの力のある直球を持ちながら、多彩な変化球を武器とします。カタログスペックは非常に高く、2018年シーズンは阪神タイガースの手薄な先発投手陣の一角に割って入る可能性が非常に高いです。

阪神タイガースの高橋 遥人（たかはし はると）

最後に同じく阪神タイガースのドラフト2位の亜細亜大学の高橋 遥人（たかはし はると）も注目です。最速150キロを誇る左腕は、プロの指導のもと、どれだけ成長できるかが楽しみな選手です。近年の阪神タイガースは、岩崎 優や石崎 剛、二軍を見ても才木 浩人など直球で押していくタイプの投手が多く、同じタイプの先輩投手から吸収できるスキルはたくさんあるはずです。能見 篤史や岩田 稔など先発左腕の高齢化が進む中、一軍ローテーション候補として名乗りをあげていってほしいです。

投手になれるまで時間がかかる野手より、比較的1年目はプロ野球に適合しやすい投手から新人王が出やすい傾向がありますが、2018年の新人王が野手から出る可能性もあります。

阪神タイガースの島田 海吏（しまだ かいり）

注目は、阪神タイガースのドラフト4位指名の上武大学の島田 海吏（しまだ かいり）です。俊足の外野手で、ポスト赤星との呼び声も高く、ルーキーイヤーから代走や守備固めとして1軍に帯同する可能性が高く、打撃さえ通用すればレギュラーの座をつかむ可能性は非常に高いです。レギュラーで一年活躍できれば、新人王に輝く可能性は十分にあります。

東北楽天ゴールデンイーグルスの岩見 雅紀（いわみ まさき）

東北楽天ゴールデンイーグルスのドラフト2位指名の慶應義塾大学の岩見 雅紀（いわみ まさき）も魅力的。こちらは和製大砲といえる長打が魅力の打者で、東京ヤクルトスワローズのバレンティンを彷彿させるような豪快なスイングが目を惹きます。守備に粗さは残りますが、昨シーズンの東京ヤクルトスワローズの野手陣を見る限り、1年目からチャンスを貰える可能性は高く、左翼やDHとして出場し1年目からホームランを量産してくれる可能性は十分にあります。

時に下馬評はあまり高くないものの、大化けする可能性があるタイプがいます。それは変則フォームの投手です。

福岡ソフトバンクホークスの高橋 輝彦（たかはし てるひこ）

福岡ソフトバンクホークスのドラフト2位の専修大学の高橋 輝彦（たかはし てるひこ）は、187cmの長身でありながら、長い腕をしならせて投げ込むアンダースローという変則フォームでプロに挑みます。他に見ない選手といってよく、アンダースローでは十分かもしれませんが、ストレートが最速141キロと平均球速より下回る中、ドラフト2位で指名されるのにはそういった背景があります。ただ変化球は種類が豊富で、カーブ、シンカー、シュート、スライダーと、右打者・左打者をえぐる変化球からタイミングをはずす緩急まで自在に操ります。高橋 輝彦（たかはし てるひこ）は、先発、救援のどちらも経験があるため、とても使い勝手が良い選手といえます。

西武ライオンズの與座 海人（よざ かいと）

同じく、アンダースローの埼玉西部ライオンズのドラフト5位指名の岐阜経済大学の與座 海人（よざ かいと）も同様に大化けする可能性があります。実は変則フォームに変えたのは、大学時代。サイドスローからアンダースローに転向し、頭角を現してプロ野球のドラフトに指名された、まだまだ伸び盛りの選手です。テンポのいいピッチングは同じく埼玉西部ライオンズのの牧田 和久を彷彿させます。その牧田 和久に弟子入りしたいところではありましたが、牧田 和久は今シーズンオフにポスティング制度を利用し、メジャーへの挑戦が有力視されています。チームとしては牧田 和久の穴を埋める選手として非常に期待がかかります。牧田 和久も１年目には先発と中継ぎ両方で結果を残しているだけに、與座 海人（よざ かいと）への1年目の期待はよりいっそう高まります。

両選手とも、埼玉西武ライオンズの牧田 和久のように良い意味で「便利屋」として、活躍できる選手になれる可能性は大いにあります。アンダースローは希少価値が高く、特に外国人野手は打つのを苦手とする傾向にあるので、パ・リーグの助っ人外国人相手にどこまで通用するかも非常に楽しみであります。

高卒ルーキーが1年目で新人王を獲得することは非常に難しい現状があります。しかし、この二人には新人王を期待してしまう人も多いのではないでしょうか。

北海道日本ハムファイターズの清宮 幸太郎（きよみや こうたろう）

まずは言うまでもなく、清宮 幸太郎（きよみや こうたろう）です。史上最多の高校通算111本のホームランを放った和製大砲。木製バットへの順応には時間がかかるかもしれませんが、育成に定評のある北海道日本ハムファイターズでじっくりと成長し、日本代表の4番を打てるような選手に育ってほしいものです。

とはいえ、DHのあるパ・リーグだからこそ、1年目から一軍での出場機会があるかもしれないという点で、わずかな高卒1年目新人王獲得という偉業にも注目していきたいです。思い切った作戦や打順を組む栗山監督であるので、もしかすると開幕DHスタメンの可能性も捨てきれません。大谷 翔平というスターがメジャーへ挑戦する来季、チームの顔になるような活躍ができるのか。清宮 幸太郎本人も、将来的なメジャー挑戦やメジャーで本塁打王を獲るという目標を公言していることもあり、なるべく早く1年目から活躍してほしいものです。

広島東洋カープの中村 奨成（なかむら しょうせい）

次に、中村 奨成（なかむら しょうせい）も将来が楽しみな高卒ルーキーです。甲子園で見せた圧倒的なバッティングは大舞台での強さを感じさせます。キャッチャーのため、どうしても高卒1年目の新人王は少し難しそうですが、バッティングだけであれば、清宮 幸太郎（きよみや こうたろう）同様に1年目からの活躍を期待してしまいます。

集中力をシーズン通して発揮できるようになるかが捕手の課題、つまり体力が鍵となるので高卒ルーキーはどうしても不利といえます。しかし、高校生離れした強気なリードと守備力、そして二塁への矢のような送球は1年目から通用するのではないか、と期待してしまいます。少なくとも数年後は、次世代の正捕手を担う存在になる素質は十分に備わっているうえ、広島東洋カープの育成能力は疑いようがないため、中村 奨成（なかむら しょうせい）も自らの長所を伸ばしながら大きく成長していってもらいたいです。現実的に見ると、まずは二軍でプロの練習や環境に慣れ、シーズン後半に代打として出場機会を得て一軍の空気を肌で感じ、数年後頭角を現して、常勝広島カープの次世代の主力選手となってくれることに期待がかかります。

高卒1年目で新人王を取れなくても、2年目以降取れる可能性があるのが、プロ野球の新人王の良いところ。

千葉ロッテマリーンズの安田 尚憲（やすだ ひさのり）

千葉ロッテマリーンズにドラフト1位での入団が決まった履正社高校の安田 尚憲（やすだ ひさのり）も将来が楽しみな選手。まさに左の大砲で、2017年シーズン最下位に終わった千葉ロッテマリーンズの一塁・三塁のポジションは不透明であるので、なるべく早く頭角を表したいところです。新監督の井口監督の下、打線の中軸を張れるような打者になれるかが楽しみです。安田 尚憲（やすだ ひさのり）は打球の飛距離だけでなくその強肩も魅力的。日本人離れした三塁からの送球は見る者を惹き付けます。ファームで攻守ともに確実性を磨き、長きに渡り千葉ロッテマリーンズを支えられるような選手へと成長してほしいものです。

福岡ソフトバンクホークスの田浦 文丸（たうら ふみまる）

福岡ソフトバンクホークスのドラフト5位の秀岳館高校の田浦 文丸（たうら ふみまる）も将来が楽しみな投手。甲子園での活躍だけでなく国際大会でも多くの登板機会の中できっちりと役目を果たしました。無類のタフネスで多くのイニングを投げられることは先発投手として非常に魅力的です。これだけの選手が５巡目まで残っていたのは驚きでもありました。現状福岡ソフトバンクホークスの投手陣は非常に充実しているため、まずは二軍での育成が予想されるが、速球に磨きをかけることができればプロでも通用すると期待されています。

中日ドラゴンズの石川 翔（いしかわ しょう）

中日ドラゴンズのドラフト２位の青藍泰斗高校の石川 翔（いしかわ しょう）も注目の一人。右投げの先発投手で最速１５１キロのストレートと、プロのスカウトも絶賛する縦のスライダーが武器です。非常にしなやかなフォームをしており、力感の無いフォームからスピンの効いた直球を投げ込みます。甲子園出場はないものの、高校生ナンバーワンと称され、多くの球団が上位指名を検討していた逸材です。ただ制球にばらつきがあり、四球から崩れるような場面も多く見られるため、まずは中日ドラゴンズの二軍で課題を克服してほしいです。逆に言えば課題がはっきりとしているので、制球難さえ乗り越えることができれば非常に楽しみな逸材と言えるでしょう。

• ※新人王候補は随時更新予定

今回紹介した選手から、2018年は新人王が出てくるのでしょうか。やはり大本命は即戦力である大学・社会人ルーキーのさらに投手である、田嶋 大樹、鈴木 博志、馬場 皐輔あたりが本命と言えるのではないでしょうか。

もちろん今回ここで紹介しきれなかった選手の中にも、ルーキーイヤーから獅子奮迅の活躍を見せてくれる選手が出てくるかもしれません。それほど近年はルーキーのレベルが上がってきており、下位指名の選手でも１年目からプロの世界で堂々と渡り合う選手も多くいます。

大学・社会人選手が新人王に輝くことが多い近年ですが、2018年の高卒ルーキー世代は清宮 幸太郎をはじめ、中村 奨成、安田 尚憲、石川 翔など将来的にチームの４番・エース・守護神というような「チームの顔」になれる素材がたくさんいます。数年後には彼らがチームだけでなく日本を背負って立つような存在感を示してくれることを期待したいです。各選手の活躍を祈りながらこれからも注目していきましょう。

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