【株式投資の教科書】「現引」と「現渡」は利用しないと損!?
株式投資を始めたい人や初心者の方だけではなく、株式に興味はあるけど何も知らない、何もわからない人でもわかるように、株式の仕組みや言葉を紹介します。今回はあまり利用されていない「現引(げんびき)」と「現渡(げんわたし)」について簡単に説明し、利用したらお得なケースを紹介します。
「現引」と「現渡」ってなに?
現引とは
現引とは、信用取引の買い建玉取得時の代金を証券会社に支払うことで、取得した買い建玉を現物株として引き取ることです。もちろん自分の口座の残高が取得時の代金より多い必要があります。
少し難しいので簡単に説明すると、信用取引の買い建玉を現物株に変更することです。
現渡とは
現渡とは、信用取引の空売りしている時に、保有する現物株を証券会社に渡すことで決済することです。決済後、売り建玉取得時の代金が口座に入金されます。
こちらも簡単に説明すると、信用取引で空売りしたことを、現物株を売却したことにすることです。
そもそも「現引」や「現渡」はどういった時に利用するものなのか?
実際に一般投資家が、「現引」や「現渡」を利用するケースは非常に稀です。どういったケースがあるのでしょうか。
「現引」を利用するケース
「現引」を利用する場合、大概は次の2つのケースになります。
- 信用返済の期日になり現引する場合
- 手数料の節約するため、信用取引を利用する場合
信用返済の期日になり、もう少し株式を保有していたいという投資家もいるでしょう。信用取引で買い建玉を取得時は、現物株を取得するだけの予算がない場合もありえます。そういったケースの場合、もう少し長期で株式を保有するための手段として、「現引」が利用することがあります。
また、詳しくは後述しますが、手数料が安くなるケースがあるため、あえて信用取引を利用し、その後すぐに現引を行い現物株に変更することがあります。
「現渡」を利用する場合、次のケースになります。
- 手数料の節約するため、信用取引を利用する場合
「現引」と同様に、手数料が安くなるケースがあるため、あえて信用取引を利用し、その後すぐに現渡を行い現物株を処分することがあります。
知っていて損はない!手数料節約術!
前述したように、「現引」や「現渡」を利用した時、手数料が安くなる時があります。手数料は証券会社により異なるため、一概にどのケースが安いということはできません。そのため、ここでは「現引」を絡めた取引の手数料の計算方法を説明し、SBI証券を例にしてシミュレーション結果を紹介します。
SBI証券の手数料を紹介します。
信用取引手数料
1注文あたりの約定代金 | 手数料 |
---|---|
20万円まで | 143円(税抜) |
50万円まで | 191円(税抜) |
50万円以上 | 360円(税抜) |
現物株手数料
1注文あたりの約定代金 | 手数料 |
---|---|
10万円まで | 139円(税抜) |
20万円まで | 185円(税抜) |
50万円まで | 272円(税抜) |
100万円まで | 487円(税抜) |
150万円まで | 582円(税抜) |
3,000万円まで | 921円(税抜) |
3,000万円以上 | 973円(税抜) |
現物株より信用取引のほうが手数料は安くなっていることがわかります。これは信用取引で取得した建玉には金利が発生するため、結局数日以上にわたって建玉を保有すると現物株より信用取引の方が手数料が多くかかってしまいます。これは、取引手数料を安くしてより信用取引を促進させようという証券会社の意図があります。そのため、手数料を安く抑えたいのであれば、現物株を保有することをオススメします。
次に、信用取引した当日中に「現引」することで現物株にした場合、どれくらい手数料が安くなるのかを紹介します。まず、手数料の計算式は次になります。
- 全手数料 = 信用取引手数料 + 1日分の金利 × 約定代金 + 現引手数料
SBI証券の信用取引で取得した買い建玉は年利「2.8%」になるため、1日分の金利は「0.00767%」になります。また証券会社によるかもしれませんが筆者の知る限り、現引手数料は基本無料になります。
これらの情報より、約定代金が「100万円」のとき、全手数料は次のように「436円」の手数料で現物株を購入できることになります。
- 全手数料 = 360円 + 0.00767% × 100万円 + 0円 = 360円 + 76円 = 436円
そのまま現物株を100万円を購入した場合、487円の手数料がかかるため、「51円」の手数料を削減することができます。
このように計算していくと、SBI証券では役定代金が700万円以下の取引の場合は、信用取引後の当日中に現引した方が手数料が安くなることがわかります。
1注文あたりの約定代金 | 現引利用時の手数料 | 現物株手数料 |
---|---|---|
700万円の場合 | 896円(税抜) | 921円(税抜) |
750万円の場合 | 935円(税抜) | 921円(税抜) |
このように他の証券会社も同様の計算方法で、信用取引後の現引した場合の手数料を計算することで、どのような取引を行うと手数料が一番安くなるのかを把握することができます。
「現渡」も「現引」と同じ計算方法
「現渡」も基本的には「現引」と同じように計算できます。上述した内容を参照し、計算すれば問題ありません。
- 全手数料 = 信用取引手数料 + 1日分の金利 × 約定代金 + 現引手数料
まとめ
- 「現引」は、信用取引の買い建玉を現物株に変更すること
- 「現渡」は、信用取引で空売りしたことを、現物株を売却したことにすること
- 「現引」や「現渡」をすることで、手数料を安くすることができる
- SBI証券の条件で現物株を購入するシミュレーションすると、役定代金が700万円以下の取引の場合は、信用取引後の当日中に現引した方が手数料が安くなる
コメントを投稿する
投稿されたコメント
コメントはありません。