【株式投資の教科書】やはり増資後は株価は下がる?

【株式投資の教科書】やはり増資後は株価は下がる?

株式投資を始めたい人や初心者の方だけではなく、株式に興味はあるけど何も知らない、何もわからない人でもわかるように、株式の仕組みや言葉を紹介します。今回は投資家にとってあまりよい印象がない「増資」について簡単に説明し、どのように捉えるべきなのかを紹介します。

まずは、「増資」を理解しよう!

通常、株式会社は登記時(立上げ時)に資本金を集めて、資本金の中で事業を展開し、売上を増やし利益を増やし、そのお金を利用して事業を拡張したりしながら、株式会社を成長させていきます。

増資とは「資本金を増やす」ことを言います。登記時の資本金とは別に、新しく株式を発行して、それを投資家に購入してもらうことで資金を調達します。

なぜ「増資」が必要になるのか?

大概は株式会社が順当に成長したり軌道に乗っている場合、自社事業で得られる売上・利益の中で新しく事業を立ち上げたり、株式会社のすでに発行済の株式を他企業が買い取ることで資金を調達したりします。

しかし株式会社が売上の中から資金を用意できない場合、株式会社は他の方法で資金を調達する必要があります。銀行から借入したりする方法もありますが、増資することも資金調達の方法の一つになります。そのため、世間の目からは『自社で資金を用意できない』と判断されることが多くあり、そもそも増資に対するイメージはよくありません。

さらに、株式会社の価値を判断する指標に悪い影響を与えるため、一般的に「増資」が発表されれば株価は下がる傾向があります。実際に、新しく事業を始める、海外進出するなどといった株式会社にとって良い理由で増資したとしても、株価が下がるケースがほとんどです。

理解しよう!増資が与える株式指標への影響

株式指標への悪影響

いくらポジティブな理由で増資したとしても株価が下がるケースが多い一番の理由は、投資家が注目する株式指標へ悪い影響が大きいためです。増資することが、どんな株式指標に影響を与えるかを解説します。

投資家が重要視する株式指標の一つに「EPS(1株当たりの純利益)」があります。こちらの株式指標に致命的なダメージを与えてしまうのが、増資になります。増資することは、株式総数を増やすことで資金を得て、総資産が増えることになります。しかし、資金が増えたからといって、すぐに売上につながることはなく、ましてやすぐに純利益が増えることはありません。つまり、増資することは「1株当たりの純利益が少なくなる(=EPSが下がる)」可能性が高いと言えます。

そのため、投資家は増資が発表されると、EPSが下がることを懸念し、株式を手放すことが多く見受けられます。

「良い増資」と「悪い増資」の見分け方!

前述しましたが株式会社が増資したら、ほとんどの場合は株価が下がります。しかし時には良い増資と判断されることもあります。どういった基準で良い増資と判断することができるのか。

やはり、投資家にとっては株式指標に与える影響が重要になります。良い増資かを判断するため、「EPS(1株当たりの純利益)」がどのように変化するのかを意識する必要があります。大概は増資を行ってすぐに売上を増加させ純利益を増やすことは難しいため、EPSが下がってしまう懸念が残り、株価が下がってしまいます。しかし増資した後、短い期間で売上と純利益を増加することが可能であれば、増資してもEPSが下がる可能性は低くなります。

ここで重要になってくるのが、純利益が上がるまでの『期間』になります。

この期間が長い(5年や10年)と、その期間を利用し売上と純利益を増加させ、その資金を基に新しい事業を展開するべきではないかと、投資家に判断されてしまいます。つまり、増資しなくても充分に事業を展開し拡張できると見なされてしまい、株式会社の経営力が低いと判断されてしまいます。

長くても2年以内、可能であれば1年以内に、増資前のEPS(1株当たりの純利益)へ戻る計画がない場合、「悪い増資」と評価できます。増資が発表されれば、その資金を利用してどれくらいの期間でどれくらいの売上と純利益を伸ばそうとしているのかをしっかりと把握することで、「良い増資」か「悪い増資」かを判断することができるでしょう。

売上や利益が上がるまでの期間

増資の補足情報

増資を行うもう一つのケース

実は株式会社が増資を行うケースがもう一つあります。増資は資金を調達するために行われることがほとんどですが、稀に特定の投資家や企業が株式を大量に集め経営権を乗っ取ろうという意図があった場合、その行為を阻止するため1株当たりの権利を薄める目的で株式を発行することがあります。

公募増資ではない増資について

今まで説明してきた増資は、公募増資と言います。証券会社を通じて、一般の投資家から資金を集めます。しかし、特定の第三者に対して新株を発行する方法があり、それを「第三者割当増資」といいます。一般の投資家は購入することができません。この増資手法は、資金調達という意味で利用されることもありますが、主には企業間の関係を強化するために利用されます。

まとめ

  • 増資とは、登記時の資本金とは別に新しく株式を発行し投資家に購入してもらうことで、資本金を増やすことを言います
  • 増資は「1株当たりの純利益が少なくなる(=EPSが下がる)」可能性が高く、株価が下がりやすい
  • 増資してから、増資前のEPSに戻るまでの期間が短いほど、良い増資と言える(期間が2年を超えるような場合は大概株価が下がる)

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