【株式投資の教科書】ストップ高とストップ安の仕組みに隠れた罠!

【株式投資の教科書】ストップ高とストップ安の仕組みに隠れた罠!

株式投資を始めたい人や初心者の方だけではなく、株式に興味はあるけど何も知らない、何もわからない人でもわかるように、株式の仕組みや言葉を紹介します。

今回は初心者は以外と仕組みを理解できていない「ストップ高」と「ストップ安」について紹介します。

「ストップ高」と「ストップ安」ってなに?

株式の取引では、異常な急騰・暴落による混乱を防ぐために取引できる株価の変動幅が制限されています。この値幅を「値幅制限」と言います。

株価がこの値幅制限の上限価格になった時のことを「ストップ高」と言います。逆に、株価が値幅制限の下限価格になった時のことを「ストップ安」と言います。ストップ高になった時にどんなに買い注文が殺到しても、株価はそれ以上に上がることはありません。逆にストップ安になった時にどんなに売り注文が殺到しても、株価はそれ以下に下がることはありません。

値幅制限は毎日変わる可能性がある

では、値幅制限はどのように決まるのでしょうか。

前営業日の終値を「基準価額」とし、この基準価額から上限価格と下限価格の値幅を定めます。基準価額がどのレンジに該当するかで値幅が変わるので、毎日値幅が変わる可能性があります。

ちなみに値幅は次のように定められています。

値幅制限表

基準価額 値幅制限 最大騰落率
1円以上 100円未満 ±30円 3000.0% ~ 30.3%
100円以上 200円未満 ±50円 50.0% ~ 25.1%
200円以上 500円未満 ±80円 40.0% ~ 16.0%
500円以上 700円未満 ±100円 20.0% ~ 14.3%
700円以上 1,000円未満 ±150円 21.4% ~ 15.0%
1,000円以上 1,500円未満 ±300円 30.0% ~ 20.0%
1,500円以上 2,000円未満 ±400円 26.7% ~ 20.0%
2,000円以上 3,000円未満 ±500円 25.0% ~ 16.7%
3,000円以上 5,000円未満 ±700円 23.3% ~ 14.0%
5,000円以上 7,000円未満 ±1,000円 20.0% ~ 14.3%
7,000円以上 10,000円未満 ±1,500円 21.4% ~ 15.0%
10,000円以上 15,000円未満 ±3,000円 30.0% ~ 20.0%
15,000円以上 20,000円未満 ±4,000円 26.7% ~ 20.0%
20,000円以上 30,000円未満 ±5,000円 25.0% ~ 16.7%
30,000円以上 50,000円未満 ±7,000円 23.3% ~ 14.0%
50,000円以上 70,000円未満 ±10,000円 20.0% ~ 14.3%
70,000円以上 100,000円未満 ±15,000円 21.4% ~ 15.0%
100,000円以上 150,000円未満 ±30,000円 30.0% ~ 20.0%
150,000円以上 200,000円未満 ±40,000円 26.7% ~ 20.0%
200,000円以上 300,000円未満 ±50,000円 25.0% ~ 16.7%
300,000円以上 500,000円未満 ±70,000円 23.3% ~ 14.0%
500,000円以上 700,000円未満 ±100,000円 20.0% ~ 14.3%
700,000円以上 1,000,000円未満 ±150,000円 21.4% ~ 15.0%
1,000,000円以上 1,500,000円未満 ±300,000円 30.0% ~ 20.0%
1,500,000円以上 2,000,000円未満 ±400,000円 26.7% ~ 20.0%
2,000,000円以上 3,000,000円未満 ±500,000円 25.0% ~ 16.7%
3,000,000円以上 5,000,000円未満 ±700,000円 23.3% ~ 14.0%
5,000,000円以上 7,000,000円未満 ±1,000,000円 20.0% ~ 14.3%
7,000,000円以上 10,000,000円未満 ±1,500,000円 21.4% ~ 15.0%
10,000,000円以上 15,000,000円未満 ±3,000,000円 30.0% ~ 20.0%
15,000,000円以上 20,000,000円未満 ±4,000,000円 26.7% ~ 20.0%
20,000,000円以上 30,000,000円未満 ±5,000,000円 25.0% ~ 16.7%
30,000,000円以上 50,000,000円未満 ±7,000,000円 23.3% ~ 14.0%

基準価額はある程度注意が必要!

珍しいケースですが、次のような株価の時は注意が必要です。なぜ注意が必要かというと、株価の桁が変わると値幅が大きく変わるためです。

  • 100円
  • 1,000円
  • 10,000円
  • 以降桁が上がる時

例えば999円が基準価額の場合、ストップ高は1,149円になります。しかし1,000円が基準価額となると、ストップ高は1,300円になります。機関投資家などが株価を大きく変動させたい時は、前日までにあえて株価の桁をあげます(株価を1,000円台にする)。企業から材料が出次第、機関投資家は潤沢な資金を利用して、300円という大きな値幅をフルに利用し、株価を変動させて一般投資家に混乱を与えます。それこそストップ高付近からマイナスへ転換というレベルで株価を変動させます。こういったはめ込みで、高値掴みして塩漬けになってしまう株主もたくさんいるので、注意が必要です。

ストップ高・ストップ安の仕組みを理解しよう

ストップ高を例に説明します。ストップ安の場合は、ストップ高の逆と捉えていただければ問題ありません。

ストップ高に張り付くとは?

「ストップ高になる」と「ストップ高に張り付く」とでは、微妙に意味が変わってきます。

「ストップ高になる」とは、値幅制限の上限値まで株価が上昇することを意味します。「ストップ高に張り付く」とは、値幅制限上限まで上がってもまだ買い注文が残っており、売り注文とバランスが取れず、買い注文が処理できない状態のことを言います。

次のような例で言うと、ストップ高で「256,100株の買い注文」と「122,800株の売り注文」がありますが、売り注文を全部処理してもまだ「133,300株」残ってしまい、需要と共有のバランスが崩れています。このように、ストップ高の株価で「需要と共有のバランスが保てない状態」のことを「ストップ高に張り付く」と言います

ストップ高の板

また、売り注文が増え、買い注文と同等以上になれば、バランスが取れるため、再び株取引が再開されます。このような現象を「ストップ高の張り付きが解けた」などと言われています。

  • ストップ高・ストップ安の仕組み
  • ストップ高とストップ安は、値幅の上限もしくは下限で、売り注文と買い注文のバランスが取れなくなること

しかし、ストップ高に張り付いたまま(需要と供給が釣り合わないまま)大引けを迎えることがあります。この時に注文を処理する方法が「比例配分」です。

比例配分とは?

ストップ高に張り付いたまま大引けを迎えた場合、「比例配分」が行われます。比例配分とは、買い注文と売り注文のバランスが取れていない(需要と供給が釣り合わない)状態から、公平に取引を終了させることを言います。

例えば、「1,000株の売り注文」と「5,000株の買い注文」でストップ高に張り付いていた場合、「5,000株の買い注文」のうち1,000株分だけは注文を処理することができます。この時、5,000株の中からどのように1,000株を選ぶかというと、会員証券会社へ公平に株数を割り振ります。このときは時間優先の法則は無視され、「成行注文優先」で証券会社へ割り当てられます。その後、各証券会社の方で顧客に割り当てられますが、その方法は時間優先や抽選などさまざまです。

  • 比例配分の仕組み
  • ストップ高・ストップ安に張り付いたまま大引けを迎えた場合、「比例配分」が行われる
  • 処理可能な株数を公平に会員証券会社へ割り当てる
    • 「時間優先の法則」は無視され、「成行注文優先」で割り当てる
  • 各証券会社で、時間優先や抽選などの手法で、株数を顧客に割り当てられる

1日中ストップ高に張り付いた場合は?

1日中ストップ高に張り付いた場合、「比例配分」の処理が行われ、ストップ高の株価が終値となります。翌日の基準価額は、当日ストップ高になった株価が該当することになります。

値幅制限には、特例措置がある

値幅制限の拡大

次の条件に該当する場合、値幅制限が2倍とする拡大措置が取られます。拡大措置は、ザラ場中(取引時間帯)に出来高があった日の翌営業日に解除されます。

  • 3日連続、ストップ高/ストップ安
  • 3日間、ザラバ中に出来高がない(大引けの出来高は除く)

整理銘柄

経営破綻したり、重大な不祥事で経営を維持することが難しいと判断された銘柄は、整理銘柄に指定されることがあります。この場合、指定された日のよく翌営業日に、下限値幅の撤廃措置が取られます。

新規上場銘柄

新規上場銘柄(IPO)は、上場初日は公募価格を基準価額とし、基準価額の4倍を上限価格、基準価額の1/4倍を下限価格が値幅になるという、措置が取られます。上場初日に初値がつかなかった場合は、その日の最終気配値を基準価額とし、翌営業日も同様の措置が取られます。

初値がついた時点でその措置は終了し、初値を基準価額とした通常の値幅制限が適用されます。(※翌営業日ではなく、初値がついた時点で通常の値幅制限が適用される)

まとめ

  • 値幅制限の上限価格に株価がなった時のことを「ストップ高」、値幅制限の下限価格に株価がなった時のことを「ストップ安」と言う
  • 前営業日の終値を「基準価額」とし、この基準価額から上限価格と下限価格の値幅が決まる
  • 株価の桁数が変わると値幅制限の最大騰落率が大きく変わるので注意が必要
  • ストップ高に張り付いたまま大引きになると、比例配分が行われる
  • 値幅制限には特例措置がある

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