祈る気持ちを忘れずに…『ウィザードリィ』は恐怖のヤリコミ系RPG【魅力その2】
さて、前回はファミコン用ダンジョンRPG「ウィザードリィ」の、「シンプルかつ縛りの多さによるヤリコミ度」の魅力について語りましたが、今回は、「プレーヤーキャラクター作りと育て方の魅力」について語りたいと思います。
多彩な職業と「種族」、そして性格。ここでも縛りだらけ!
まず、新規でゲームを開始すると、「キャラクター作成」から始まります。あらかじめ作られたキャラも何人かはいて、それをパーティに加えることもできますが、デフォルトのキャラは当然「可もなく不可もなく」なステータスなので、やはり自分で作成したキャラでパーティを作るのがこのゲームの醍醐味です。そこで、様々な選択肢が用意されています。
最初に紹介するのは「種族」です。「ウィザードリィ」の世界では、ファンタジーでは王道の、人間は元より様々な「デミ・ヒューマノイド」が存在し、それをプレイヤーキャラとして選ぶことができます。ファンタジーの原点であり王道の「指輪物語」からインスパイヤーされたその種族とは、皆さんおなじみの、エルフ、ドワーフ、ホビット、ノームです。当然、種族によって初期パラメーターも異なります。そのため、それぞれの種族に適した「職業」もおのずと偏ってきます。
例えば、エルフは知能や素早さに秀でているので魔術師や僧侶向き、ドワーフは力や体力に特化しているので戦士向き、など。ここまでは他のRPGと同様かと思います。もちろん、ユーザーの思い入れが強ければ、「私は何が何でもエルフの戦士を作りたいんだ!」と言う人は、もちろん作成可能です。ボーナスパラメータをそう割り振ればそれほど苦もなく作れます。この辺りは自由度があっていいですね。
選べる職業は、大きく「ノーマルクラス」と「ハイクラス」の2つに分かれます。ノーマルは、戦士、魔術師、僧侶、盗賊。ハイクラスは、「サムライ」「忍者」「ビショップ」「君主」となります。普通は高位職はいきなり作れません(ハイクラスのうちの半分がなぜか日本の職業(?)なのかは理由ははっきりしていませんが、多分開発者が日本かぶれだったかと思われます)。
しかし、いきなりキャラ製作段階でハイクラスを選ぶこともできます。それには低確率で発生する「超ボーナスポイント」が欠かせません。キャラ作りの際にパラメーターに割り振れることができるボーナスポイントは、通常10前後ですが、たまに30とか50!とか「超ボーナス」が出る場合があります。さすがにいきなり忍者は無理ですが、それ以外のハイクラスは作ることが可能なのです。
そして、ここがこのゲームの落とし穴。通常は戦士なら戦士をLvアップしてパラメーターを上げてサムライや君主に転職させるのですが、Lvアップに必要な取得経験値が全然違ってきます。例えば、戦士をLv.1からLv20(転職可能Lv)まで上げるのに必要な経験値と、いきなりサムライLv1からLv20まであげるのに必要な経験値は3倍以上になります。つまり、ハイクラスはとにかく成長が遅いということです。この問題の解決方法は、別記する「某モンスター無限増殖裏技」で解決はできるのですが、かなりハイレベルな攻略法なのでここでは触れないでおきましょう。
さて、ここでまた、他のRPGにはない選択をしなくてはならなくなります。それは職業にも、いや、今後の貴方のプレイの方向性にも影響する重大な選択です。それは「性格」です。
ウィザードリィの世界において、大きくキャラの性格は3分されています。
それは、「善」「中立」「悪」の3つです。「悪」といっても、非道な悪魔のような、というものではありません。「自分の欲求に忠実な」程度のものです。例えるなら、命乞いをするモンスターを、見逃せば「善」、ぶった切るなら「悪」。その程度です。しかし、それが職業選択に始まり、今後のプレーヤーの行動をがっちり縛ることになります。職業は、善悪それぞれなれる職、なれない職が決まっています。悪の君主はなく、善の忍者もいません。しかしこれは「原則」です。パーティも、善と悪を混合して組むことは「原則」できません(裏技は存在しますが)。
ダンジョンに入って様々なモンスターと戦闘するうち、「善」パーティの行動選択如何によっては「悪」に変わることもしばしばあるのです。怖いですね。どっちが良い・悪いではありません。プレーヤーの好みの問題でもあるでしょう。こういった設定を改めて見直すと、なんとも人間臭さ満載のゲームですね。
設定の裏をかく「裏技」しかし、それも…!?
例えば、君主は「善」しかなれません。他方、忍者は「悪」のみです。でも、どうしても「君主と忍者を一緒のパーティにしたい!」と思った場合、諦めるしかないのでしょうか?
結論から言うと、可能です。
基本、ウィザードリィにおいてパーティを作る際は、「ギルガメッシュの酒場」で登録(作成)されているキャラをパーティ編成するのですが、「ウィザードリィ」の世界では、「ダンジョン内で合流」という裏技が使えます。
ギルガメッシュでは当然、性格(善悪)の違うキャラは一緒のパーティにできませんが、以下の工程で編成が可能になります。
<例:悪パーティに君主(善)を入れる方法> ①君主のみでパーティを作り、それをダンジョン入り口で放置して街に戻り別で悪パーティを作る。(5名以内)
②ダンジョンに入り。先の君主を放置したポイントで「仲間を捜す」
③見つけた君主を「パーティに加えますか?」「YES」で完了。
これで善悪混合パーティの完成です。しかし、気をつけないといけないのは、そのパーティーでのその後の「行動」です。「悪」パーティだからと、悪な選択ばかりしていると、善の君主も「悪」に変わってしまうのです!ゲームを進めていく上では願ったりですが、人の上に立つ「君主」が「悪」って、なんだか世相を反映しているみたいで、ここにもこのゲームの哲学的な匂いを感じます。
まとめ
さて、まだまだ語りつくせない「ウィザードリィ」の魅力。次回は「エンドレスに『周回』してしまう中毒性!」について語ります。