【魔女の宅急便】魅力や裏設定、トリビアを紹介|ジブリ人気投票も!
「魔女の宅急便」とは
1989年7月29日公開。宮崎駿の長編映画第5作。もともとはシナリオも監督も宮崎駿の予定ではなかったことも影響してか、スタジオジブリで制作された宮崎駿の長編映画では初めて原作が宮崎駿ではありません。前作の「となりのトトロ」での興行的な失敗もあり、長編アニメーション映画としては制作期間が長く取れることができず、宮崎駿の代わりに音楽演出を高畑勲が受け持ったり、久石譲も演奏録音が公開間際になったりしました。失敗が許されないスタジオジブリは、今までにない積極的なプロモーションを行うことで、興行収入43億円と当時の日本のアニメーション映画の興行記録を更新することに成功しました。
『田舎から都会へ状況してきた少女が苦難を乗り越え成長していく』ことをテーマとしたため、思春期を迎えた少女の感情がリアルに描かれ、主人公が魔女であるにもかかわらず、『空を飛ぶ』以外のファンタジー要素は抑えられています。制作が進むにつれ原作の絵本「魔女の宅急便」がら内容が大きく変わってため、原作著者の角野栄子が否定的になり始めたこともあり、監督の宮崎駿が何回か対談することで説得したといわれています。
「魔女の宅急便」の制作秘話
「魔女の宅急便」の映画化の企画は、もともとスタジオジブリではなく映画プロダクションの風土舎でした。電通を通して、徳間書店(スタジオジブリの親会社)へ協力依頼が来て、最終的にスタジオジブリが制作することになります。風土舎は監督とプロデューサーに「宮崎駿」か「高畑勲」の起用を希望しましたが、「となりのトトロ」や「火垂るの墓」の制作中であったため、スタジオジブリとしては若手有望株を監督として起用、さらに脚本も「一色伸幸」を起用、宮崎駿はプロデューサーのみ担当することに。
しかし、いざ制作が進んでいくと、一色伸幸の書いたシナリオが作品の雰囲気にそぐわなかったり、風土舎だけでなくスポンサー企業からも監督に宮崎駿を希望されたりと、監督も脚本も結局は宮崎駿がすることになります。背景として、前作の「となりのトトロ」と「火垂るの墓」が興行的に大失敗したため、スタジオジブリの資金面も非常に厳しい状態であり、スタジオジブリも後がなく宮崎駿に頼らざるおえない状況であることも監督交代の後押しとなりました。
「魔女の宅急便」では、前作とは打って変わって宣伝活動に本腰を入れました。クロネコヤマトをスポンサーにそえ、広告宣伝、テレビCMなどやれることを全てやりきっています。宣伝活動の効果もあり「魔女の宅急便」では大ヒットを記録できたため、スタジオジブリの存続させることに成功しました。この時に活躍したのが鈴木敏夫であり、その後スタジオジブリの名プロデューサーとして君臨し続けます。
補足ですが、「となりのトトロ」と「火垂るの墓」は今となっては名作中の名作と評価されるうえ、「となりのトトロ」に関してはグッズの売れ行きも好調とスタジオジブリの稼ぎ頭ですが、公開当時は興行収入的には失敗に終わっています。「魔女の宅急便」の興行収入は「となりのトトロ」の約4倍を記録しました。スタジオジブリに後がなかったことを証明するエピソードとして、フィルムの配給を担当していた東映は前作の「火垂るの墓」と「となりのトトロ」の興行的失敗を理由に、「魔女の宅急便」をもって配給の打ち切りが決定しています。
「魔女の宅急便」の概要
魔女の血を継ぐ13歳の女の子「キキ」と飼い猫の「ジジ」は、13歳の満月の夜に修行に出るしきたりに従い旅に出発し、海の向こうの大都会コリコにたどり着きました。田舎育ちのキキは大都会の人々になれませんでしたが、パン屋のおかみ「おそのさん」と出会い、パン屋の2階に居候することに。空飛ぶ魔法を活かして『宅急便』事業を開業します。そんな中、空に憧れを抱く少年「トンボ」が、空を飛ぶキキを見て友達になろうと馴れ馴れしい態度で接してきます。そんなトンボを不愉快に思いながらも、徐々にキキとトンボは打ち解けていが、トンボが原因ですごく不愉快な思いをしたキキは突如、魔法の力を失い唯一のとりえである空を飛ぶこともできなくなってしまいました。
空が飛べないと仕事もできず、キキはさらに落ち込んでしまいます。そんなキキを応援してくれる人々の優しさに支えられ、徐々に元気を取り戻していきます。そんなとき、キキが見たテレビには、飛行船事故に巻き込まれているトンボが写っていました。トンボを助けたい素直な思いにより、魔法の力を奮い起こしついにまた空を飛ぶことに成功します。しかし戻ったばかりの魔力な上、ホウキではなく慣れないデッキブラシで空を飛んだため、なかなかトンボを助けることができません。ついにトンボが落下してしまったそのとき、キキは急降下し見事トンボをキャッチして救出することに成功。一躍有名人となったキキは街の人たちともすっかり打ち解け、街を飛び宅配業に精を出していました。
「魔女の宅急便」のトリビア・裏設定
キキが生まれた瞬間
「魔女の宅急便」という原作もテーマもある中、宮崎駿は何を表現しようか定まりませんでした。ある日、喫茶店で鈴木敏夫に『思春期』を描くべきと助言を貰った瞬間に、宮崎駿は細いマジックペンを出して、喫茶店の紙ナプキンに大きな「リボン」を描きました。その時に宮崎駿は『これだね!このでかいリボンがこの娘を守ってるんだ。それが思春期じゃない?』と語ったそうです。凡人には少し分からない内容ですが、天才はこれで全て解決。これがキキが登場した瞬間でした。
魔女の宅急便は「1人」の女性の成長を描いたもの
宮崎駿は、キキが成長した将来の姿を投影する人物を登場させたそうです。つまり、13歳のキキが成長すると、18歳のウルスラになり、26歳のおソノさんになり、37歳のキキのお母さん(コキリ)と続いて、最後はケーキを焼いてくれた老婦人へと成長していきます。
宮崎駿は「魔女の宅急便」でスタジオジブリを解散させることを提案していた
宮崎駿は『作品、同じスタッフで3本作ったら、人間関係がダメになる』という持論を持っていました。しかし、「風の谷のナウシカ」から数えると「魔女の宅急便」は5作目。宮崎駿は『ここあたりで一度リセットしよう』という提案を鈴木敏夫にしていたようです。しかし、鈴木敏夫は『面白くなってきたから』という理由で大反対。宮崎駿も鈴木敏夫の意見を尊重し、スタジオジブリは継続することになります。しかし、鈴木敏夫も宮崎駿の意見を軽視したわけではなく、制作スタッフもスタジオジブリの社員として採用したり、スタジオジブリの体制自体を大きく見直すきっかけとなりました。
原作ではキキが35歳になるまで描かれている
実は映画化されたのは原作の絵本の2巻までです。原作の絵本は全6巻であり、13歳で旅に出て、20代でトンボと結婚、35歳で娘たちを魔女の仕来りで旅に出す壮大なストーリーとなります。
ジジと話せなくなった理由で原作者と少しもめた…
物語の終盤で、キキは魔力を失います。そのため、空が飛べなくなり、ジジの言葉も理解できなくなってしまいます。ここの解釈が原作者と宮崎駿で意見が異なってしまいました。
宮崎駿は「魔女の宅急便」を通して、一人の女の子が成長する姿を描いています。少女から一人の女性へ、一人の大人への成長する過程で、『夢から目覚めた』ことによりジジの声が聞こえなくなるということを表現していました。しかし、原作はというと、ジジはキキ以外の人間とも普通に会話をする魔力を持った猫として描かれています。そのため、宮崎駿のキキにしか理解できないという設定自体が原作とことなる設定になりました。この問題は、原作者とは宮崎駿と何回か対談することで解決されたといわれています。
「名探偵コナン」と意外な関わり
キキの声は、名探偵コナンの声優として有名な「高山みなみ」です。さらにトンボの声は、名探偵コナンの工藤新一の声優「山口勝平」です。つまり、キキが江戸川コナン、トンボが工藤新一ということになります。ちなみに画家のウルスラも「高山みなみ」が1人2役で演じています。
都合上カットされたシーンと追加されたシーン
コリコの街にやってきた初日は、キキはどうしても宿泊先が見つからず、時計台で一夜を明かすシーンが予定されていたそうです。イラストまで書かれたそうですが、結局は採用されずカットされたとのことです。
物語のクライマックスで『飛行船からトンボを救う』シーンは、原作にも宮崎駿の脚本にも最初はありませんでした。鈴木敏夫の一言、『娯楽映画なのに物足りない。最後はお客さんへのサービスとして派手なシーンを入れるべきだ』と注文したため、あのシーンが追加されたそうです。実は「風の谷のナウシカ」でも、鈴木敏夫の一言でラストシーンが変更になっています。
クライマックスの群衆シーンにはキャラクター大集合!
クライマックスの群衆シーンには、様々なキャラクターが大集合しています。キキを注意した警官、トンボの友達(ニシンの包み焼きが嫌いな子)までいます。
さらに、電気屋のテレビの前で、デッキブラシをキキに貸したおじさんが「これは俺が貸したんだ」と自慢するシーンの右角端にいるのが、宮崎駿といわれています。アニメータの遊び心なのか、宮崎駿の遊び心なのかはわからないですが、スタジオジブリの心温まるエピソードになります。
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