【となりのトトロ VS 火垂るの墓】ジブリ2大映画の人気投票結果はこちら

宮崎駿の「となりのトトロ」と高畑勲の「火垂るの墓」は1988年4月16日より、同じ劇場で同時上映されました。今となっては両作品共に、名作中の名作としてロードショー等で毎年テレビ放送されておりますが、上映当時はそうではありませんでした。

同時上映とは「となりのトトロ」と「火垂るの墓」両方を交互上映することで、1度に両方の映画を楽しむことができました。しかし、「となりのトトロ」の後に「火垂るの墓」を見た場合、ほのぼのファミリー系の映画を見た後に、戦争をリアルに表現された刺激の強い映画を見ることになり、ちょっとしたパニックになる人（特に子供）も多かったようです。そのため悪い口コミが広がってしまい、興行成績は過去最低を記録しています。今では『絶対にやってはいけない二本立て』として日本映画史上に名を残す事になりました。

本記事では、ファミリー系ほのぼの映画の「となりのトトロ」と、戦争をリアルに表現した映画の「火垂るの墓」について簡単に紹介し、最後に『【となりのトトロ VS 火垂るの墓】どちらの映画が好き？』というアンケートの結果を紹介します。

もしよければ皆さんの意見も聞かせてください♪

「となりのトトロ」は、宮崎駿の長編アニメ映画では初めて悪役が出てこないファミリー映画となります。昭和30年代前半の日本を舞台にしたファンタジー映画になり、子どもの時にしか会えないと言われる不思議な生き物「トトロ」との交流を描いていくストーリー。『このへんな生きものは まだ日本にいるのです。たぶん。』というキャッチフレーズからも良き昔を思い出させてくれる作品になります。

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そんな「となりのトトロ」と同時に上映された「火垂るの墓」は、高畑勲の最高傑作と言っても過言ではありません。日本アニメ史上、最も写実的にリアルを追求した長編アニメ映画といわれたりもしています。包帯ぐるぐる巻き遺体に蛆虫がわくといった、当時をリアルに表現されたことに注目されがちですが、実際は「清太」と「節子」の兄妹のヒューマンドラマになります。

「親戚の叔母さん」が悪役として見られがちですが、完璧主義の高畑勲は「清太」も「親戚の叔母さん」も社会も全てにおいて平等に描いており、「清太」の甘いところも見事に表現されているため、「節子」を死に追いやったのは「親戚の叔母さん」ではなく「清太」なのではという声もしばしば。「清太」が妹のために下した決断の一つ一つが、「節子」を死へと追いやっていく切なさ。一度見たら全てが鮮明に脳裏に焼き付いてしまう映画なんて「火垂るの墓」以外ないのではないでしょうか。

「火垂るの墓」と「となりのトトロ」の2本立ての同時上映だったため、制作も同時に行わざる負えませんでした。企画が決定したその日に、宮崎駿はスタジオジブリのスタッフ全員に『トトロを手伝え』と声をかけ、スタッフ全員を手に入れてしまいました。その瞬間は「火垂るの墓」のスタッフがゼロ状態。

しかし、「火垂るの墓」の監督の高畑勲は、作画監督の近藤喜文だけは『近藤喜文がいなかったら火垂るの墓はできない』と主張し、鈴木敏夫が仲裁に入ることに。宮崎駿が激怒するも押しのけ、近藤喜文だけは作画監督として、「火垂るの墓」のスタッフとして加わるように調整をしました。今まで宮崎駿の師匠が高畑勲でしたが、ライバルへと関係が変わった瞬間でもありました。

高畑勲は、大人向けの内容の映画のため、子供への刺激を気にしていた！？

高畑勲は「火垂るの墓」について、「公開前は子どもに観せていいんだろうかと、不安になったことがあった」と振り返ったことがあり、続けて「どちらを先に観るかという問題。『火垂るの墓』を先に観た人はかわいそうでしたね」と語っています。宮崎駿も高畑勲も「アニメは子どもが観るもの」として制作することが多く、それに逸脱した内容の「火垂るの墓」は、子どもには刺激が強いと批判されることも想定していたそうです。

宮崎駿は、高畑勲へのライバル心をむき出しにしていた！？

逆に宮崎駿は、「となりのトトロ」を制作途中に大先輩でありライバルの高畑勲の「火垂るの墓」の内容が気になってしょうがなかったと言われています。戦争のリアリティーを追い求めた「火垂るの墓」の内容を聞き、「これ（となりのトトロ）ではダメだ、こんなファミリー映画作っている場合じゃない」と焦りを見せたそうです。結局は鈴木敏夫に説得され、そのまま「となりのトトロ」を制作したそうです。

実際に「火垂るの墓」の「清太」がトマトをかじると知れば、「となりのトトロ」の「サツキ」にはキュウリをかじらせ、「火垂るの墓」で蛍が大量に描かれたと知れば、「となりのトトロ」では蛍は一切描かなかったり、「火垂るの墓」のリアリティーに対し、「となりのトトロ」ではファンタジーを追い求めました。それほど宮崎駿にとって、高畑勲は偉大な存在かつ越えたい存在であり、同時上映で高畑勲に負けることだけは避けたかったのでしょう。

いかがでしたでしょうか。今では大人気の映画2本は、公開当初は二本立てをタブーとしてしまうくらいの相性の悪さから、興行成績が過去最低を記録記録するという大事件が起きていたことは、あまり知られていません。しかしどちらも良い映画なので、評価は後日うなぎのぼりとなり、今では再放送するたびに高視聴率を残す名作となっています。

最後に気になるアンケート・ランキング結果の発表です。

アンケート『【となりのトトロ VS 火垂るの墓】どちらの映画が好き？』の選択肢

1. 選択肢
2. となりのトトロ
3. 火垂るの墓

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