【株式投資の教科書】「PER」だけでは割安性を判断するのが難しい?
株式投資を始めたい人や初心者の方だけではなく、株式に興味はあるけど何も知らない、何もわからない人でもわかるように、株式の仕組みや言葉を紹介します。今回は、近年割安性を判断する株式指標の「PER」だけでは、割安性を判断するのが難しくなってきている理由について紹介します。
PERについて
- PER=株価÷EPS
PER(株価収益率)は、株価がEPS(一株あたりの純利益)の何倍まで買われているかを意味し、単位は「倍」です。通常PERが「10〜15倍」が普通と言われており、安定している大企業だと「10倍」くらい、ベンチャー企業だと「20〜30倍」前後であることが多くあります。
一般的には、株価が割安かどうかを判断するのに使われており、基準より低かったら割安銘柄、基準より高かったら割高銘柄と判断されていました。
しかし実際のところ、PERの株式指標だけでは、株価の割安性を判断するのは間違いであり、「企業の成長を考慮して割安かどうかを判断すべき」事実があります。判断方法については、詳しくは「「PER(株価収益率)」にだまされるな!」を参照ください。
- PERで割安性を判断するには、企業の成長を考慮する必要がある
なぜ成長を考慮しないと、割安性を判断できない?
株式会社BatQueという会社があって、その株価が1,000円、EPSが20円とすると、株式会社BatQueのPERは50倍です。教科書の基準からすると、株式会社BatQueの株価は「割高」と判断されてしまいますが、前述したように正しくありません。成長を考慮しないと、本当に株価が割安かがわからないためです。
では、どのように成長を考慮しなければいけないのでしょうか。
①まずは、株式会社BatQueの1年後の成長を予測してみよう
1年後、株式会社BatQueの純利益が2倍になると予想!
本当になるかどうかは置いておき、1年後に株式会社BatQueの純利益が2倍になった場合、EPS(一株あたりの純利益)も2倍になります。
ということは、株式会社BatQueの本年度のPERは「50倍」ですが、予想通り1年後に純利益が2倍になれば、PERは「25倍」になります(※同じ株価と仮定)。つまり、純利益が増えれば増えるほど、PERは下がり、「割高」から「適正価格」に近づくことになります。
投資家はこのように売上や営業利益がが数年以内にどれくらい高くなるのかを分析し、純利益の伸びを予想し、株式銘柄の株価の適正価格を判断します。
今回の株式会社BatQUeの場合であれば、1年後のPERが「25倍」になると予想したので、1年後の株価はおおよそ「適正価格」と判断することができます。本年度のPERの「50倍」を見れば「割高」と感じてしまうかもしれませんが、株式会社BatQueの成長を考慮することにより「適正価格」と判断することができるでしょう。
1年後、株式会社BatQueの純利益は変わらないと予想!
今度は、1年後に株式会社BatQueの純利益が変わらなかった場合を考えましょう。純利益が本年度と1年後変わらないため、もちろんEPSも変わりません。
売上や営業利益も考慮する必要はもちろんありますが、この場合は1年後の株式会社BatQueのPERも変わらず「50倍」になるため(※同じ株価と仮定)、PERは「割高」のままということになります。
②次に、株式会社BatQue株価の推移を予測してみよう
1年後、株式会社BatQueの純利益が2倍になると予想!
先ほど考察したように、本年度の株式会社BatQueの株価は見た目は「割高」ですが、1年後は「適正価格」に近ずいていると予想できます。
普通に考えれば、1年後は株価が「適正価格」だから、株価がそこまで変動しないと考えてしまいます。しかし、この場合の株価の推移は非常に面白く、今が適正価格だから、これ以上株価が上がらないと判断すると、期待をよく裏切られます。
なぜなら、投資家はその先をさらに予想するからです。つまり、2年後、3年後を予想するということです。数年後、さらに売上が伸びることで、純利益が増えると予想できるのであれば、株価はさらに上がり出します。しかし1年後に成長が止まると判断されたりするのであれば、株価が上がらなかったりします。
1年後、株式会社BatQueの純利益は変わらないと予想!
先ほどと同様、本年度も1年後も株式会社BatQueの株価は「割高」のまま、株式会社BatQueは成長しないと予想できます。
これは皆さんの予想通り、株価は下がることが多くあります。ただ、先ほども述べた通り、投資家はその先をさらに予想します。つまり数年後、もし売上が伸び純利益が増えると予想できるのであれば、株価は上がる可能性があります。
このように企業の成長を考慮することで、割安性を正しく判断することができるでしょう。
まとめ
- PERだけでは、企業の株価が安いかどうか、割安性を判断するべきではない
- 企業の成長を考慮して、株価が割安かどうかを判断すべき
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