日本を代表する映画監督「宮崎駿」。スタジオジブリを制作基盤とし、長編映画の監督として11本の作品を残し、そのほかにも長編映画の脚本や企画、短編映画の監督など、宮崎駿の関わった作品を数えだしたらきりがありません。彼の監督作品を1作品も見ていない日本人はいるのでしょうか。監督として大成功を収めた宮崎駿でしたが、彼の制作者としての人生は決して順風満帆ではありませんでした。
本記事では、そんな宮崎駿の長編映画の11作品(後半)を紹介し、どの作品が一番好きかアンケートの結果を紹介します。宮崎駿の歴史前半については、「【宮崎駿の激動の人生 前編】40歳までの不遇を乗り越えた遅咲きの天才」を参照ください。
もしよければ皆さんの意見も聞かせてください♪
監督作品一覧
上映年度 | タイトル |
1979年 | ルパン三世 カリオストロの城 |
1984年 | 風の谷のナウシカ |
1986年 | 天空の城ラピュタ |
1988年 | となりのトトロ |
1989年 | 魔女の宅急便 |
1992年 | 紅の豚 |
1997年 | もののけ姫 |
2001年 | 千と千尋の神隠し |
2004年 | ハウルの動く城 |
2008年 | 崖の上のポニョ |
2013年 | 風立ちぬ |
「ルパン三世 カリオストロの城」〜「紅の豚」の宮崎駿の監督作品紹介は 前編記事へ
本記事の前編として、1979年から1992年までの作品の紹介は、次の記事を参照ください。
もののけ姫
1997年7月12日公開された宮崎駿の長編映画第7作「もののけ姫」。構想16年制作3年かけた超大作宮崎駿の集大成として制作された作品。当時のスタジオジブリ史上一番の制作費や宮崎駿の引退宣言まで飛び出し、話題になった作品であったため、興行収入193億円を記録し当時の日本映画の興行記録を塗り替えました。ちなみに、この翌年あっさりと引退宣言は撤回されました。それまでの宮崎駿の従来のヒーローヒロインの明るい映画とは少し違い、哲学要素が含まれたり、明確な悪役が設定されなかったりと、大人が考えさせられるような内容になります。また宮崎駿作品の中では初めて『空を飛ぶ』シーンが描かれておらず宮崎駿の得意分野を捨てたり、今までにないくらい暴力的な描写が多くしたり、『今までの宮崎駿らしくなさ』がたくさん詰まった作品になっています。
「もののけ姫」について、詳しくは「【スタジオジブリ】『もののけ姫』の魅力を徹底解析!」を参照ください。
ストーリー概要
少年「アシタカ」は村を救うため、タタリ神と呼ばれる化け物を退治したことで、右腕に呪いを受けてしまいます。その呪いはやがてアシタカ死をもたらすため、呪いを断つためにタタリ神が来たとされる西へ向かうことに。道中で盗賊と戦った際、結果アシタカに救われた「ジコ坊」と出会い途中まで一緒に旅をします。
アシタカはジコ坊と別れた後、さらに西へ進んだところに、「エボシ」という女が治める鉄を作るタタラ場という村にたどり着きます。タタラ場は、石火矢と呼ばれる鉄砲で村を守っていました。そしてタタリ神の正体はその鉄砲にやられたイノシシだったことがわかります。アシタカはこれ以上憎しみを広めるなとエボシに忠告しますが、エボシはいうことを聞きません。鉄を作ることで自然を破壊しているタタラ場の人々を動物たちは快く思っておらず、森の神「シシ神」に力を授かった「もののけ」たちはエボシの命を狙います。
もののけの山犬に育てられた人間の娘「サン」もエボシの命を狙っていましたが、返り討ちに合ってしまい窮地のところアシタカが救いだします。人を憎むサンはアシタカを殺そうとしますが、シシ神がアシタカの傷を治したこともあり、サンはアシタカを生かすと決めます。そのころタタラ場には、旅を共にしたジコ坊とエボシがシシ神殺しを計画していました。そして、もののけ達と人間との全面戦争が始まってしまいます。戦争の末、エボシが遂にシシ神の首を取りますが、シシ神の体から命を吸い上げる液体が広がり、山を埋め尽くし森は枯れタタラ場も破滅してしまいます。
サンとアシタカはその状況を打開すべくシシ神の首を取り戻すため協力し、ついにシシ神の体に首を返すことに成功します。シシ神は首を取り戻しましたが、朝日を浴びることで消えてしまいます。しかし、シシガミの液体が地に落ちたところから、枯れ果てた山に緑が少し戻ります。そして、アシタカの腕の呪いも消えます。アシタカとサンは共にこの世界で生きようと語ります。サンは山へ、アシタカはタタラ場へ、再会を誓いあうのでした。
千と千尋の神隠し
2001年7月20日公開。宮崎駿の長編映画第8作。引退宣言からの復活後の最初の作品。実は宮崎駿の作品は、前作の「もののけ姫」を境に大きな変化を見せます。宮崎駿的には、「もののけ姫」でやりたいことはやりきったため、「千と千尋の神隠し」以降は作風をかなり変えており、ストーリーの一貫性を放棄したものもあえて用いたりしています。そのため、宮崎駿自身、『僕はもう既成の起承転結のよくできたストーリーの映画なんか作りたくない』や『自分の作品の大衆性が低くなっている』と発言したりしました。しかしそんなコメントをしたにもかかわらず、結果だけ見ると素晴らしい結果を残しております。興行収入は300億円を超え、日本歴代興行収入第1位を達成しました。この記録は現在も塗り替えられていません。
「千と千尋の神隠し」について、詳しくは「【スタジオジブリ】『千と千尋の神隠し』の魅力を徹底解析!」を参照ください。
ストーリーの概要
少女「千尋」は、両親と共に森の奇妙なトンネルから無人の街に迷い込みます。そこは神々の住む世界であり、その世界に足を踏み入れてしまったため、千尋の両親は豚に変えられ、千尋も消えそうになりますが、この世界に住む少年「ハク」に助けられます。ハクは油屋という湯屋で働いており、そこの主人は人の名を奪って支配する魔女の「湯婆婆(ゆばーば)」でありました。働かないと両親のように動物に変えられてしまうため、千尋は名前を奪われ「千(せん)」と名を変え働くことになります。
ハクは、本当の名前を忘れると元の世界に戻れなくなることを告げますが、ハク自身は既に名前を忘れ自分の正体がわからずにいました。千尋は元の世界に戻るため、家族を救うため、実直に働きます。その結果、様々な人々に認められるようになり、あるお客(川の主)から尽くしたお礼に不思議な団子を受け取ります。
そのころハクは湯婆婆の命令で、仲の悪い双子の姉「銭婆(ぜにーば)」から魔女の契約印を盗み出します。銭婆はハクを追い、ハクに重傷を与えるだけでなく、湯婆婆の息子もネズミに変えてしまいます。千尋はハクに不思議な団子の半分を食べさせ助けますが、以前危険な状態…。
一方、千尋をひいきするもう一人の客の「カオナシ」が油屋で従業員を飲み込み暴れていますが、以前千尋に親切にされたこともあり千尋の気を引こうとします。しかし収集がつかないため、仕方なく不思議な団子の残りをカオナシに食べさせ、従業員を助け出します。そして、千尋はハクを救いたい一心で、銭婆のもとへネズミになった坊を連れて謝りに行きます。
一方で不思議な団子の効果もあり多少回復したハクは、大切な坊が銭婆のところへ行ったことを湯婆婆に伝え、坊を連れ戻してくることを条件に、千尋と両親を解放する約束をします。千尋の謝罪もあり、ハクも銭婆から許してもらえ、坊を連れて油屋へ帰ります。その道中で、ハクの正体を思い出した千尋は、名前を忘れてしまったハクに本当の名前を教えます。名前を取り戻したハクは、ようやく湯婆婆の支配から解放されました。湯婆婆の元へ着いたハクは千尋と両親を解放するように要求します。そして湯婆婆が解放する条件として最後の難題を千尋に与えますが…
ハウルの動く城
2004年11月20日公開された宮崎駿の長編映画第9作「ハウルの動く城」。「魔女の宅急便」以来の15年ぶりに原作が宮崎駿ではない作品になります。「ハウルの動く城」の原作の小説の設定が様々な箇所で使われているため、小説を読まずに見るのと小説を読んで見るのでは、だいぶ印象が変わります。物語の前半は比較的原作の小説に準じていますが、後半は原作の小説にない戦争の設定などが付け加えられるなど、全く違った展開を演出しています。原作者のジョーンズからも『宮崎駿は私が執筆したときと同じ精神で映画を作った』と最高の評価をあたえました。興行収入は196億円、1,500万人と大ヒットを記録しています。2000年以降は鈴木敏夫のプロデュース力が神の領域になり、公開すれば興行収入100億円が当たり前という恐ろしい状況が続いています。
「ハウルの動く城」について、詳しくは「【スタジオジブリ】『ハウルの動く城』の魅力を徹底解析!」を参照ください。
ストーリー概要
帽子屋の18歳の女の子「ソフィー」は、兵隊に絡まれているところに、魔法使いの「ハウル」に助けられます。しかし、その後ハウルを追っていた魔女に襲われ、魔女の呪いをかけられ老婆に姿を変えられてしまいます。元の生活ができなくなり街を出たソフィーは、荒地で「カカシ」を助けます。カカシはお礼に「ハウルの動く城」を連れてきます。中には火の悪魔「カルシファー」がいたり居心地がよかったため、ソフィーはそのまま城に住むことになります。隣国との戦争に王からハウルは協力を求められますが言うことを聞きません。王に仕える魔法使いの「サリマン」はハウルの師匠でハウルを溺愛していたため、ハウルが悪魔と取引しサリマンの元を去ったことを悲しんでいました。
そんなサリマンに王からの要求を断るため、ハウルはソフィと共に面会しましたが、結局協力しないハウルとは喧嘩別れしてしまい、ハウルはそのまま国とサリマンから狙われ続けます。ハウルはサリマンから隠れるため、城の引越しをします。しかし、戦争は拡大し、町は空襲を受け、ハウルはソフィーを守るため戦いに行ってしまいます。ソフィーはハウルを思い助けに行くため、再び城の引越し(大移動)を試みます。
しかしそのとき、カルシファーに水がかかってしまい城が崩壊してしまいます。崩壊した城の扉はハウルの魔力が残っており、ハウルの幼少時代につながっていました。幼少時代のハウルが流星を飲み込み、胸から火に包まれた心臓(カルシファー)を取り出すのを見たソフィーは、ハウルに『きっと行くから未来で待ってて』と叫びながら元の世界に帰ります。元の世界では、戦争を終わらせるため、ハウルが戦い、ボロボロになってしまっていました。ソフィーは自分の叫んだ内容を受け、ずっと待ってくれていたハウルの気持ちに気づき、なんて自分が愚かだったのかと心を解放し呪いを解き少女の容姿に戻ります。そして、ハウルとカルシファーを救うため、心臓(カルシファー)をハウルの元にもどします。そして、ハウルとカルシファーは…
崖の上のポニョ
2008年7月19日公開。宮崎駿の長編映画第10作。原作、脚本、監督全てが宮崎駿となる作品は第8作の「千と千尋の神隠し」以来の7年ぶりの作品となります。制作当初はコンピューターグラフィック(CG)などを使うことも検討していましたが、『人間が手で描く』というアニメーションの根源にこだわり、『手書き』で作画したため絵のタッチは素朴なものになりつつも、従来とは違う新しい表現方法が用いられています。とくに『海の波』の描写にはこだわったといわれています。
また話の構成は、オーソドックスな起承転結があるストーリーではなく、伏線をとくに張らずに勢いよく話を進めています。そのため、天変地異がおこっても詳しく説明されることはなく、全体的に不明な点が多く残ったまま物語が完結します。前述した通り、宮崎駿は「もののけ姫」で万人受するストーリーを作ることはやりきったため、「千と千尋の神隠し」以降はあえてストーリーの一貫性を放棄したりしています。「崖の上のポニョ」もその一つとなります。しかし大衆性が低いといっているにも関わらず、「千と千尋の神隠し」に続き結果は大成功で、興行収入は155億円、観客動員数1200万人以上という大ヒット作品となっています。
「崖の上のポニョ」について、詳しくは「【スタジオジブリ】『崖の上のポニョ』の魅力を徹底解析!」を参照ください。
ストーリーの概要
魚の女の子「ポニョ」は家出し、クラゲに乗って海岸へやってきます。空き瓶に頭が挟まってしまったところ、保育園児の「宗介」に助けられます。宗介は魚のポニョが好きになり、ポニョも宗介のことが好きになります。しかし、魔法使いの父「フジモト」により、ポニョは海の中へと連れ戻されてしまいます。人間のことをよく思っていないフジモトは、人間の世界を滅ぼすため井戸に『命の水』を蓄えていました。
宗介に会いたい人間になりたいと願うポニョは再び家出を試みますが、そのとき偶然に井戸の命の水に海水を注ぎこんでしまいます。海水と反応した命の水がポニョの周りに溢れ出し、命の水の魔力によりポニョは人間の姿へと変わります。危険な力を持つ命の水は激しい嵐を呼び起こしてしまい、ポニョは津波と一緒に宗介に会いに行くことになります。ポニョが宗介に会えたとき、宗介は魚のポニョが女の子の正体とすぐに気づき、家に招き入れます。
一方でフジモトは命の水の影響で世界が破滅してしまうと頭を抱えていたところ、海の女神であるポニョの母親は、ポニョを人間にする古い魔法を使えば、ポニョが手に入れてしまった魔力を封印することができると助言します。その魔法を使うには、宗介がポニョのことが好きであることとポニョが魔法を捨てることが条件になり、失敗した場合ポニョが泡になってしまう恐ろしい魔法でした。それでも二人の気持ちが揺るがないと信じ、ポニョの母親は古い魔法を使い世界を救おうとします。その結果は…
風立ちぬ
2013年7月20日公開。宮崎駿の長編映画第11作。宮崎駿が戦争について、空想の戦争ではなく、実際の戦争について初めて表現した作品になります。さらに、実在した人間(堀越二郎)をモデルとするのも初めてで、従来の宮崎駿の表現方法とは大きく異なります。また、宮崎駿は本作をもって、長編アニメ会から引退を宣言。「もののけ姫」の時のように、いつ引退宣言が撤回されるのだろうかと期待されていますが、現在まだ撤回されていません。興行収入的には、内容が大人向けなこともあり前作の「崖の上のポニョ」には及びませんでしたが、それでも120億円を超え十分大ヒットしたといえます。高畑勲が監督したスタジオジブリの「かぐや姫の物語」と同日公開を予定して制作を進めていましたが、案の定、高畑勲の進行が遅れてしまい、「風立ちぬ」のみ先行公開されました。
「風立ちぬ」について、詳しくは「【スタジオジブリ】『風立ちぬ』の魅力を徹底解析!」を参照ください。
ストーリー概要
飛行機に憧れている少年・堀越二郎は、飛行機の設計家になることを志します。大学生になった堀越二郎は飛行機の設計を学びますが、在学中に関東大震災が起きてしまい、そのとき偶然会った菜穂子を助けます。その後、大学を卒業し飛行機の開発会社に就職し、入社5年目で開発チーフに抜擢されますが、完成した飛行機は空中で分解してしまい大失敗に終わります。チャンスを生かせなかった堀越二郎は避暑地のホテルで休養を取りますが、そこで菜穂子に偶然再会します。
菜穂子との仲を深めて結婚を申し込むと、逆に菜穂子は結核であることを告白します。堀越二郎は治るまで待つと菜穂子の結核を受け入れ、二人は婚約します。しかし、菜穂子の病気は悪化してしまい、人里離れた病院に入院することに。堀越二郎が仕事で忙しく見舞いに行けないでいると、菜穂子は堀越二郎に会いたいという気持ちを抑えることができず、結局は堀越二郎のもとへ訪れてしまいます。
『治す』という選択肢ではなく、結婚して『一緒の時間を大切にする』ことを決意します。堀越二郎の仕事が忙しく、会社から帰宅するのも遅くなりますが、菜穂子は仕事をしている二郎が好きだと彼を励まします。しかし、菜穂子は日増しに病気が悪化して行き、病気の重さを隠すため、化粧を工夫したりするほど。
そして限界を迎えたその日、置き手紙を残して密やかに堀越二郎の元を去ってしまいます。同じ頃、堀越二郎の開発した飛行機のテストが成功しました。年月が流れ、堀越二郎が作った戦闘機により、多くの命を失ったことに心を痛めていたところ、夢に菜穂子が現れ声をかけます…
気になる宮崎駿の監督作品の人気ランキングはこちら!
アンケートまだまだ募集しています!皆さんのご意見も是非教えてください。
「何が好き?」シリーズ!!
みんなが敬愛する宮崎駿の長編アニメ映画の中で好きな作品を教えてください!
初監督作品の「ルパン三世 カリオストロの城」から、スタジオジブリ最新作品の「風立ちぬ」までの全12作品!
気になるアンケート結果は??